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ブッダに学ぶ、イライラと上手に付き合うアンガーマネジメント

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アンガーマネジメントとは

あなたの周りには、イライラして怒りを誰かにぶつけている人はいないでしょうか。これを読んでいる人の中にも、自分の怒りの感情に悩んでいる、という人もあるかもしれません。

 

イライラしている時ほど他人を批判したり、攻撃しやすくなります。ついカッとなって怒りをぶつけてしまうと、人間関係が損なわれてしまうかもしれません。

 

批判されるとショックを受け腹が立ちますから、イライラは人から人へと伝染してゆきコミュニケーションは悪循環に陥ってしまいます。

 

このような怒りの感情に振り回されず、快適でより良い人生を生きるために、1970年代のアメリカを中心に始まったのがアンガーマネジメントと言われる手法です。

 

アンガーマネジメントは怒りを無くすのではなく、怒りの心をうまくコントロールするための方法なのです。

 

 

怒りは周りだけでなく本人を苦しめる

昔から「怒りは無謀に始まり後悔に終わる」と言われます。イライラしている時は誰かに怒りの感情をぶつけたくなりますが、ぶつければぶつけるほど腹を立てている本人もどんどん苦しい状況に追い込まれてしまいます。

 

イライラの感情は、精神的に苦しくなるだけではなく、高血圧や心臓病、睡眠障害、脳卒中など、健康にとってもネガティブな影響として表れます。

 

怒りのままに流されてしまう人は、実は不幸な人だと言えます。

 

またイライラは、自分だけでなく周りの人にも影響を及ぼします。米・ジョージタウン大学教授のクリスティーン・ポラス氏は、暴言などの職場での礼を失した態度は、生産性は大きく損なわれることを指摘しています。ポラス氏の研究によると、

1.直接暴言を言われた人は処理能力が61%、創造性が58%低下する

2.その人が所属しているグループのメンバーは、処理能力が33%、創造性が39%低下する 3.赤の他人が暴言を吐かれるのを目撃しただけでも、処理能力が25%、創造性が45%低下する

という結果が出ました。

 

イライラしながら「生産性を上げろ!」と当たり散らすほど、生産性は低下していってしまいます。イライラしている人が近くにいるだけで、私たちは影響を受けてしまうのです。これは職場だけでなく、たとえば家庭でも、夫婦のケンカが子どもの脳の発育や、自己肯定感の形成を阻害することは、多く指摘されています。

 

 

どうして腹が立つのか

「怒り」とは、私たちが何かの要望、欲求が満たされない時に、要望・欲求を表すために現れてきます。「私は○○をしたいのに」あるいは「○○してもらいたいのに、やってくれない」等、相手に対する要求の表現方法の一つ言えます。

 

怒りの程度にもよりますが、例えば誰かとケンカをしている最中でも、別の人から電話がかかってくれば、「あら、こんにちは」と、ある程度冷静に話ができます。相手が商談相手や、尊敬する人であれば、笑顔で接することもできるかもしれません。

 

怒りは二次感情とも言われ、その奥には苛立ちや、不安、恐れ、悲しみ、寂しさといった感情が隠れています。それをわかってもらいたいという思いから溢れ出してくるのがイライラなのです。

 

人間関係でも、誰かと上手く付き合う時に相手のことを知る努力をするように、怒りの心を上手に付き合うには、怒りの実体をよく知ることが大切です。

 

仏教を説かれたブッダは怒りの心を「瞋恚」と教えられ、次のような特徴があると教えられました。

 

腹が立つのは、欲が妨げられた時

先ほどもありましたように、私たちは自分の欲求が妨げられた時に腹を立てます。

 

ブッダは私たちの欲求を大きく分けて五欲と教えられました。五欲とは次の5つです。

  • 食欲 … 食べたい、飲みたい。できれば、よりおいしいものを口にしたい、という欲。
  • 財欲 … お金やモノが欲しい。少しでも儲けたい。自分のものはできるだけ節約したい、という欲。
  • 色欲 … 異性を求め、愛されたい。大事にされたい、という欲。
  • 名誉欲 … 褒めてもらいたい。認めて欲しい。悪く言われたくない、という欲。
  • 睡眠欲 … 寝ていたい。楽がしたい。めんどくさい、という欲。

 

これら五欲が誰かに邪魔された時に、私たちは腹を立てます。もし誰かが腹を立てていたら、きっとどれかの欲が妨げられた、ということです。

 

また、自分がイライラしていると感じたら、一体どの欲が妨げられているのか、と振り返ってみましょう。これを実践していくと、少しずつ怒りの心を客観視できるようになります。

 

怒っている時は「自分が正しい」と思っている時

また、私たちが腹を立てているのは「自分が正しい、相手が間違っている」と思っている時ではないでしょうか。「自分は誤っていた」と思えば、他人に対して腹を立てることはありません。

 

私たちの人間関係には「べきの境界線」というものがあると言われます。相手の言動について、どのレベルまでは許容できる、という範囲は人によって異なります。べきの境界線が自分と一致する相手とは、一緒にいてもストレスがありませんが、この許容範囲が一致しないのです。

 

自分は食器を使ったらすぐ片付けたい、と思っていても、他人はある程度まとめて片付けたほうがいいと思っているかもしれません。言葉遣いや生活音、物の使い方、置く場所、片付けるタイミングなど、許容できるレベルは人によって異なります。その結果、ささいなことでイライラして、衝突が起きてしまうのです。

 

日本最古の憲法を定めた聖徳太子は、十七条憲法の中で次のように書かれています。

「我必ず聖に非ず。彼必ず愚かに非ず。共に是れ凡夫ならくのみ。」(聖徳太子『十七条憲法』)

 

相手は自分とは異なる人間ですから、相手の言動にイライラする時は「果たして本当に自分のほうが正しいのだろうか」と自己を振り返ることを聖徳太子は勧められています。

 

 

 

 

イライラへの対処

お釈迦様は「怒りを口から出す人間は下等、口に出さない人間が中等、心に怒りの蛇が狂っていても顔にも出さないのが上等の人だ」と説かれました。

 

では、イライラに対して、私たちはどのように対処したらいいのでしょうか。アンガーマネジメントには、次のようなポイントが教えられています。

 

①時間を置く

衝動的な怒りの感情のピークは、長くても6秒と言われます。昔から「腹が立った時には10数えよ」と言われますが、これは理にかなっている対処法です。

 

もしも苛立って、感情的になっている場合は、すぐに言い返したり、行動したりせずにまず時間を置くことが大切です。

 

②変えられるものに着目する

私たちの身の回りには、自分の力で変えられるものと、変えられないものがあります。

 

例えば、「なんで今日は雨が降るんだ」とイライラしたところで、天気はどうしようもありません。そんな時は、仕方ない、と諦めて、自分にできることは何かを考えることで道が開けてきます。どうにもならないことを恨み続けることで、ストレスを抱え込んでしまいます。

 

また、相手の言動にイライラする時も、相手をマリオネットのように操ることはできません。(操れるならそもそもイライラはしません。)

 

そんな時は、相手の言動はひとまず横に置いて、今自分にできることは何かを考えるように心がけましょう。自分にできることに取り組むためにはイライラしている時間はありません。そして、腹が立つような状況でも、自分のすべきことに取り組める人は、周りの人にも信頼されます。

 

③違いがあることを理解する

私たちにはそれぞれ「こういう時は~すべき」という許容範囲があります。このレベルには違いがある、ということを振り返りましょう。

 

④何に怒っているのかを考えてみる

怒りとは欲求がジャマされた時におこります。

「よく見られたいのに、バカにされた」

「計画していたのに、うまくいかなかった」

「のんびりしたいのに、自分だけ大変で惨めに感じる」

などなど、怒りの裏には必ず欲求があります。もしイライラしている時は、「どんな欲求がジャマされて怒っているのだろう」と見つめていきます。

これは他人がイライラしている時にも大切なことです。相手を理解することにもなり、関係も少しずつ良くなっていくかもしれません。

 

⑤存在を尊重する

私たちには一人一人、生きて果たすべきことがあります。イライラする時は目の前ことで頭が一杯になってしまいがちですが、自分の人生の意義が自覚されれば一時の怒りに振り回されずに人生を大切に生きていくことができます。

 

 

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